NEWS


2010/1/27

あけまして、おめでとうございます。
近々オープンする、「茶屋雨巻」について書きたいと思います。

今、私が大工のようなことをやって建設している茶屋がありますが、「高松邸」の敷地の一区画がその現場です。店の名の通り、雨巻山の麓に位置しています。

「建築は今日、可能なのか」ということを考えると、甚だ、頼りない気持ちになって来てしまうのですが、ここでなら少しくらいその可能性があるのではないのか、と思えてきます。

建築というものは、(建築家が思っているほど)そう、たいしたものではない、私には、そんな風に思えてしまいます。なぜかというと、建築は、土地やそれを含む環境がなくてはどだい成立しない、という、とても当然なことが、当然のように、持ちあがるからです。

身体的に、建築とその環境、そしてそこに居座る人と通り過ぎていく人、に「関係」していくことが、私が考えている建築行為です。しかし、そもそも身体的に建築と関わることが現在の建築現場でできるのか、というと、なかなかそうはならない。効率化、分業化が進んでいますから、のこのこと、建築家が現場に鑿と槌を持って現れたのでは、大工さんにも施主にも迷惑がかかりますし、竣工してしまえば、それこそ思い通りに建築に足を運ぶことはできません。

私が住んでいる山で、私が考える建築行為の少しくらいは実践できているかもしれません。自分が大工をやって建てた家に家族と住んでいて、わずかばかりですが畑をやり、雑木も自分で伐採しているのですから、身体的に、建築と環境に関係している、といえなくもないでしょう。しかし、あくまでも非公開なプライベートスペースですから、そこを通り過ぎてゆく人ということについては、相当限定されます。ダイナミックなことにはならない。イノシシやキジやカモが時折敷地を横断することぐらいが、ありうるハプニングでしょうか。

「高松邸」の高松さんが、茶屋をゆくゆくはやっていきたい、と発言された時、何となく私の意志は固まったのかもしれません。人との関係だけでいうと、私の山とは比較にならないくらい「茶屋雨巻」の敷地はダイナミックな運動性を持っています。なにせ、雨巻山への山道にその茶屋はあるわけですから。

場所、土や風や水などの自然が与えてくれるものの方が、建築なんかよりも遥かに私たちには大きな存在です。そういう事柄から離れて建築は成立しない、そういう自戒の意味も込めて、私は事務所の名前にランドスケープという文字を残しています。
ちなみに、私の事務所の英語表記はM.A.L=Machida Architecture & Landscape Design Officeとなっています。

私の考える建築行為が、ここでは可能かもしれない。そんなわけで、私は「高松邸」の敷地に関係し続ける道を見つけたのでした。「茶屋雨巻」、私自身もとても楽しみにしているのです。フォカッチャと珈琲、和菓子とお茶をメインに出す予定です。3月はプレオープンということで、土日の限定オープンとなります。詳細は以下のサイトをご覧下さい。

茶屋雨巻>>


2009/6/15

13日に初日を迎えた『レスラー』を観ました。人間、それしか撮っていない映画ですが、その人間たるや、、、。「USA、USA、USA」というかけ声を背負えるひとつの肉体、精神がこの現代にあるのか。

“再戦”と銘打たれたリングの上で華々しく行われる、傷つきボロボロだけれども鍛え上げられた美しい肉体と、全てのよりどころを今まさに失わんとするその直前の哀しい精神、その両方の自殺。華やかな自殺、華やかだけれども、果敢なく哀しい自殺。レスリングのリングへと、スーパーの売り場へとつづく雑然とした通路は、どちらも現実とはいいがたいフィクショナルな世界へとつづく小路。舞台裏とは、言葉通り、裏を返して現実そのものなのである。そこは、見届けるものにも歩む張本人にも、痛くて直視しがたい。
その先に、レスラーという肉体と精神の姿をかりたアメリカ合衆国が、ぼんやりと見えてくる。おおいなる幻想の世界、アメリカ。この国は、ランディ同様になんとボロボロで、なんと疲れ切っているのだろう。連呼される「USA、USA、USA」という言葉がかろうじて彼らを奮い立たせている。

当然のことかもしれませんが、小栗監督の映画とは対照的な映画です。そんなことを考えながら、『レスラー』と『埋もれ木』をご覧になっていただくと、面白いかもしれません。ちなみに、『埋もれ木』はNHKのBS2で、6月26日の0時40分(6月25日の24時40分)から放送予定ですので、未見の方はこの機会にどうぞご覧下さい。

私事ですが、四年ほど前にプロレスラーとアメリカに触れた記事があります。興味がある方は、ご一読ください。ボロボロで疲れ切っているのはアメリカかもしれませんが、本当のところ病んでいるのは、この日本かもしれません。

「チャベス ベネズエラを、プロレスが消えゆく日本で読む」 >>


2009/4/2

私自身が大工のようなことをして建てた家が完成しつつあります。「家とはどうあるべきか」という問いがずっと私の中にありました。まだ整理は出来ていませんが、なんとなく見えつつあることを今後、まとめていきたいと思っています。


2008/2/17

いつか小栗監督とこんな話をしたことがあります。真剣に対象と向き合って映画(建築)をつくるとしたらペースはどんなものかと。私は今のところ建築家ですから、家なら一年に一棟かな、っていいました。監督は、映画なら三年に一本でも早すぎるな、っておっしゃいました。もちろん、時間をかければいいというものではありませんが、小栗監督はおおよそ六年に一本のペースで映画を撮られています。どうしてそんなに時間がかかるのか、一度、そのこと自体に観る側も向き合って考えてみてもいいかもしれません。幸運なことに、三月からポレポレ東中野で一挙に監督の作品を観ることができます。三十年間の仕事をひとつの映画館で通して観ることができる、貴重な企画です。ふたつの大きな目が、三十年間、どのような対象と向き合ってきたのかを私も追ってみたいと思います。



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WORKS >>

建築
2010 茶屋雨巻 栃木県 益子
2009 バラック 栃木県 益子
2009 水屋 栃木県 益子
2009 Gallery Yusei(スターネット 遊星) 栃木県 益子
2008 木積みの家 栃木県 益子
2008 高松邸 栃木県 益子
2008 K邸 第三期 栃木県 佐野
2007 K邸 第二期 栃木県 佐野
2007 Starnet RECODE (スターネット リコード) 栃木県 益子
2007 K邸 第一期 栃木県 佐野
2006 T邸 栃木県 益子
2006 Starnet ARK (スターネット アーク) 栃木県 益子
2005 Y邸 神奈川県 茅ヶ崎
2004 ハウスA 群馬県 前橋
2003 Knulp AA (クヌルプAA) 東京都 石神井
2002 M邸 栃木県 益子

造園
2008 上大羽の家 栃木県 益子
2002 M邸 栃木県

映画
2006 『埋もれ木』 DVD 特典映像
2005 ひまわり新聞
2004 小栗康平監督作品 『埋もれ木』

プロジェクト
2007- IE Project
2000 交番プロジェクト (撮影:クリスチャン・ノール)





MAGAZINES & TEXTS >>

不定期ですが、マガジンを刊行しております。オープンハウス情報や、建築全般のこと、農業のこと、映画のこと、地域のことなどについての文章を載せております。


<更新履歴>
2008/6/3 マガジン04号
2007/10/22 マガジン03号

2007/1/16 空間を感じるということ
2006/7/25 『時間をほどく』 ブックレビュー
2005/8/5 チャベス ベネズエラを、プロレスが消えゆく日本で読む


「空間を感じるということ」(一部抜粋)

例えばどうでしょう、その一本の木を見て、年輪がぎゅっと密に詰まっていることに気がついた職人が、日陰になった山の北側を思い浮かべたとします。視覚的に見たのは木ですが山の北側が思い浮かんだのです。さて、その職人によって想像された山は、まったくの非現実なものだといえるでしょうか?





INTERCOURSE >>

『高松邸』を中心とした木工作家との対話をアップしております。木工作家である高山英樹氏との往復書簡です。現在工事中の高松邸の家具製作を高山氏と、高松邸について考えながら感じたことを記しております。

<更新履歴>
2008/2/17 町田から高山氏への手紙
2007/11/19 高山氏から町田への手紙


「高山氏の手紙」(一部抜粋)

それから家にいると、なんだかすぐお茶の時間になってしまうんです。つい、お茶の時間にしてしまいたくなるような環境なんでしょう、そういう「お茶の時間」っていうのは、それこそ自然の時間なんでしょうね。そういう時間を感じると、やはり幸せな気分になります。職人さんはほとんどきっかりにお茶の時間をもちますが、あれはリズムの問題で、やっぱり時計の時間とは少し違うんだと思います。余談だけれど、自然に近い生活をしていると占いが当たるんです。うちにはテレビはありませんが、時折ラジオをつけていると、星の動きで占う占いの番組が毎朝あって、こう「今日は掃除をするとよいでしょう」とか、「今日はいらいらするので注意しましょう」とかっていっているんですね。それがなんだか、あたることが多いんです。自己暗示じゃないですよ。うちは朝が早いですから、その占いが始まる前に、もう掃除をやっちゃっていたり、すでにイライラしていたりするんですよ。だから不思議だな〜と思うんです。やはり人間も自然の一部だからそういう宇宙全体の動きに左右されるんですね。だから昔の戦国時代とかに、諸葛孔明みたいな軍師(戦略をたてたり、占星術、気象学などあらゆる学問に優れる)がいて、今日はこんな感じの日だから、こういう作戦でという風にやると、おそらく誰しもが自然に近い生活をしていたはずですから、きっと相当な確率で戦略が当たったんだと思います。しかし自然と離れた生活が長くなった現在では、やっぱり人為的に何もかもが行われていますから、いろんな事が複雑になるのかもしれませんね。





ABOUT

1975年、関西に生まれる。幼少期を四国やニュージーランドといった自然が豊かな都市で過ごす。慶応義塾大学経済学部を卒業後、同大学修士課程政策メディア研究科(AUD)を修了する。99年には待望のヨーロッパ建築旅行を敢行。4年間ほど鎌倉に家を借り、町田設計事務所を同地で設立させる。2005年には、ローカルアーキテクトとなるべく、益子町に事務所を移転させ、現在に至る。

名前/町田泰彦
事務所名/町田設計事務所(M.A.L)
住所/栃木県芳賀郡益子町
設立年/2002
コンタクト/info@malplan.com
ホームページ/www.malplan.com
www.japan-architects.com/mal





LINKS

小栗康平監督     
泥の川、伽?子のために、死の棘、眠る男、埋もれ木を撮った映画監督

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声(Voice) アーティスト

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大野一雄(舞踏)と野口三千三(野口体操)に師事した舞踏家

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東京石神井にある兄のセレクトショップ

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