最後の冒険家

石川直樹さんが最後の冒険家と称した神田道夫さん。彼が最後の冒険へと飛び立つ最後の最後に踏みしめただろう大地は栃木でした。毎年、冬のおなじころでしょうか、何艘もの気球が家の上空を流れていくのに出くわします。空に浮かぶ気球を見ると、ふと、神田さんの目線が意識されるのです。海しかない、そんなところに不時着する気持ちなど私からは遥か遠いはずなのに、一瞬ですが、その海を感じるのです。海に面していない栃木にいて、そんなことを可能としてくれる、一年のうちでも貴重な日。きっと私の中で、神田さんはまだ冒険の途中なのでしょう。

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