方丈記私記[平成]No.008

数億年の歳月をかけて人間へと変貌を遂げたその最初の第一歩としてのミトコンドリアの命の営みいちいちに、人間へとたどり着く意志があったわけではなかった。それは、現れては消える波のように始まりも終わりもない様子でたんたんと、粘土をこねる水力の木槌が陶芸の里で土を叩くその音のごとく、ただただタンタンとタンタンと続いてきて、そしてその結果として、なんだかわからないけれどもわれわれみたいなヘンテコな生命に至った。そのヘンテコなわれわれはミトコンドリアとは違って、波が立てば嵐を思い、凪いだ海にこころを落ち着かせ、練り上がってくる粘土にそわそわとなる

ハトの映画を撮ろうと思いハジメたのは、311直前の年末だった。寝ていたのか起きていたのか、とにかく夢うつつのその最中に、けれどもやけにはっきりと「ハトの映画を撮る」のだということがわたしに知れた。そう思うに至る何かきっかけのようなものがあっても良さそうなのに、振り返ってみてひとつも思い出せない。ただ、ああ、わたしによって「ハトの映画」が実現するのだ、その時はそんな風に他人事のように枕元で思ったことを覚えている。とにもかくにもそれは決まったことだと思ったので、次の週、ハトを飼っている農夫に「ハトの映画を撮らせて下さい」と告げに行った。その農夫が飼っているというハトすらまだ一度もまともに見たことがなかったのに。そう告げてから、中古のHDカメラやDVテープをネットで買ったりして準備していると、突然311が起きた。ほうれん草が出荷停止になって農夫のことが心配で訪ねると、今度はその農夫の方から「ハトの映画を撮るっぺよ」と言われた。なんとなく、一緒に生きていくっぺ、そんな風に言われたような気がした

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