Archives for the ‘オン・ザ・ロード/ルートH’ Category

めくらのハト

未知のものへと放たれためくらのハトの一群だ(ロルカ詩集「新しい歌」/長谷川四郎訳)

進歩

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昨年も、その前の年も稚内での放鳩シーンを撮影できなかった。努力が何かを約束してくれるわけではないけれど、稚内の空を想像できることはまぎれもない進歩(オン・ザ・ロード/ルートH)

白老

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チャンピオンレースの日は白老の空はハトだらけだよ、そんなことをベテランのハト屋さんに聞いたことがある。地図上で線を引いてみると確かにハトがここを通っても不思議ではない。ハトだらけ、というのは渡ることを躊躇するハトの群れが旋回していることを指しているのだろう、対岸には何もないと思えるこの海岸から持ち合わせの本能だけでは津軽を渡ることができないというそのことに、同じ動物としてなんかほっとするのだ。(オン・ザ・ロード/ルートH)

支笏湖

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シコテムコ・エアン・パラト(シコツ川の・水源・そこに・ある・広い湖)を横断しているうちはまだよかったね、そんなことを思うハトはいるんでしょうか。だってこの先には津軽海峡が、、、、(オン・ザ・ロード/ルートH)

チセ

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アイヌのチセ(家)は、ひとつの原型かと思われます。「なにが必要なのか」「どうして必要なのか」を自然に対して答弁する責任をこれ以上の家を望むひとに課してみたらどうだろう、その時、私はなにを望み、どう説明するのだろうか。(オン・ザ・ロード/ルートH)

あっちの世界

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トトロが見えるということは、すでに私は死の世界に足を踏み入れているのかな?(オン・ザ・ロード/ルートH)

寄り道

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ハトが飛ぶコースを外れ、ひとに薦められた湖に立ち寄る。寄り道ができる幸せを噛み締めようとするけれど、寒さのためか、そんな暖かい気持ちは氷面をつつつとすべって消えてゆく。(オン・ザ・ロード/ルートH)

なごり

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はとよ、いずこ(オン・ザ・ロード/ルートH)

惹かれるもの

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身を守るためにつくられてきた家がとにかく私を惹きつけるのは、それが私一人の興味というよりも、太古の昔から引き継いだ記憶に触れる(振れる/降れる)から。潮風にさらされたこの家の主は今はカラス。(オン・ザ・ロード/ルートH)

海か陸か

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ハトは直線的に家(巣)に帰るといわれていますが、直線といったって、山がそびえていればそれを迂回する方法をとるのが自然かもしれません。そのとき、海をとるのか陸をとるのかという選択肢があります。山を選択してきたのは私個人の話ですが、だからこそ、海が根強く私の底に横たわっています。いざ、海へ。(オン・ザ・ロード/ルートH)

肩透かし

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肩透かしを食って意気消沈している私に似合った寂しげな小道を、さあ、出発点にして、ハトが飛んだ(かもしれない)ルートに寄り添ってみましょう、、、。(オン・ザ・ロード/ルートH)

稚内港ふたたび

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2012年の稚内レース、天候不順もあって私の滞在中にハトが飛ばされることはありませんでした。2013年、天候が不順になることが予想されて、私が稚内にたどり着くより先にハトは飛ばされてしまいました。わずかな雲の隙間からのぞいた太陽を頼りにハトは内陸へと飛んでいったそうですが、私が稚内に着いてもなお、その太陽を探しそびれたハトが上空をさまよっていました。(オン・ザ・ロード/ルートH)

上陸

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大学の頃、自転車で北海道を旅したときと同じ苫小牧からの上陸。自転車って書くとなにか慣れた人の旅だけれど、苫小牧から札幌の道中サドルにこすれて「お尻が痛くなる」ことにはじめて気がつくようなノープランな感じ、今も昔も、そういうところに全く進歩がないなぁ。(オン・ザ・ロード/ルートH)

ただいま

ただいま、と言える店がいくつあるかな。果樹園のフルーツをふんだんに使ったタルトと中川ワニさん直伝の珈琲という最強のタッグを味わうことができた福島のお店(cafe in cave)が閉店し、最終日に足を運んだことで実質最後の客となってしまった私。同店主が築いた札幌のお店(たべるとくらしの研究所)に足を踏み入れ、なんだか自然と「ただいま」という気持ちになったのは新鮮な経験でした。きっと、場所や行為がどうのこうのということも大事だけれど、ひとはまず、ひとそのものに共感するようです。(オン・ザ・ロード/ Route H)

大沼

冬を越してシベリアのお家へと帰ってゆく白鳥たちの飛来地を空から目撃したとしたなら、ハトは、なんと思うのか。飛び立ったばかりだから休みたくなる気持ちを抑えるまでもないかもしれないけれど、「寄り道もありだね」なんて気持ちがどこかに貯蔵されて、苦しい道中にふと思い出すこともあるよね。(オン・ザ・ロード/ Route H)

大沼球場

例えば、野球をやるのに夜間照明がいるのか、スコアボードがいるのか、全面芝がいいのか、観客席はいるのか、そういうことを真剣に考えたとしたら、その野球場はどうしたって自分の野球場ってことになる。自分の野球場があることで、週末がどんなに楽しみになるか考えなくても、わかる。しかし、私の場合は、この野球場でさえ、身に余る。ひとまず自分のものといえるのは、自分と、自分の家族と、自分の家と、自分の家を囲う山、それくらい。(オン・ザ・ロード/ Route H)

氷雪荘

雲はまだ重く厚くそらを覆っている。太陽の位置がハトにわからなければ、帰る方向も見えてこない。私はうかつにも、ハトを放つ地点にいる者は「いっちまえ」と軽い気持ちでいるのかと思っていました。もし、放鳩のシーンを軽々しく見ることができていたとしたら、その過ちに気がつかなかったかもしれません。(オン・ザ・ロード/ Route H)

稚内港

オン・ザ・ロード/Route H(北海道)

北海道は稚内から関東に向けて飛ばすレースを「グランプリ」と呼び、国内では最高峰となります。帰還率1割を満たすかどうかの厳しいその行程を想像しながら、風向きや雲の厚さ、太陽の向きなどの飛行環境もまた想像し、落ちていくハトの耐力のことをも想像する。どこで夜を過ごすのか、その暗闇や暗闇の中でそびえる山々をまるで見ているかのようにして、ハトが放たれる瞬間を待つ者がいます。