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もっとシンプルに

『土と土が出会うところ』は反射をひとつのテーマとして書いていました。私という身体を鏡として反射しあっている「土と土」、その自然の様子(音)を言葉へと変換することで、人に読んでもらえるものとしました。もちろん、その時から、たとえば浄土と穢土という反転にも自覚的でありましたが、『星(ほし)と塩(しほ)との遠近』でもって、その中心にあった身体という鏡をひとつ後退させ、ものとものがそこに反転した状態でただただ〈複雑ながらも〉在る、ということを記してみました

けれども、書くという行為の時に引っ張り出してきた心身が、自分で自覚していたよりだいぶ社会化してしまっている、というのがこの夏に気がついたことでした

リハビリテーションとして、詩を書いていこうと思っています。ものとものがそこに反転した状態でただただ〈シンプルに〉在る、ということが記せるようになりたい

書くことは旅をすること

わからないところにいて、よりわからなくなるために移動してみることを旅と呼ぶのだと思う。文章を書くことは旅をすることと似ていると人が言うのは、そのことを指して言っているのだと思う。わからない、ということはちっとも怖いことではない。でも、わからない、という出会いをやめてしまうことは僕にとってはとても恐ろしいことだ(Isla Mocha, 2009)

テーブルセット


この場所に出会った時、久方ぶりに膝から崩れていくほどの揺れを自分自身の内部に感じた(九鬼浦、2023)

つまずき

科学(ニュートン)は色を数(波長や周波数)で定義した。しかし、実際のところわれわれは世界の中において色を数で捉えていない。われわれは、色を、内面の感情や環境における関係性において、例えば、青を緑と感知したりする。ゴータマ・シッダールタは、世界の見え方を変えてしまうその場限りの「感情」と「私」を=イコールで結ばない精神性を保つことが個人が幸福になる道だ、と人を諭した(と僕は思っている)けれど、実験に参与した者の意志(意思/意識)が実験結果(世界の見え方)を変えてしまうということが科学的に証明された世界となって問われてくるのは、つまるところ「私」から切り離したその「感情」でもって何を意志するべきなのか、ということになる

「わくわくする方へ舵を切りなさい」

スピリチャルの方に科学が追いついてきた、というはそういうことなのかもしれない。わくわくしている人が経験している世界と、困難を感じ続けている人が経験している世界は同時(パラレル)にあるのだけれど、しかしその人が知覚している世界はひとつしかない(いや、結局は同時に経験しているということなのかもしれないのだけれど)。とにかく、どっちの世界に含まれたい?と問われれば前者がいいと即答する人が多いはずで、でも、好きなことしかしていない僕でも「わくわく」ということがなかなか持続しないのが現状だ。困難を感じ続ける「感情」をどう「私」から区別するのか、という訓練を思春期からずっと続けてきた僕にとって、季節の変わり目に吹いた風を感じた時みたくわくわくすることって、そうそう、引き寄せることができない

僕が、建築よりも土木(水脈)の仕事に没頭してしまうのは、そんなところにつまずいているからかもしれない

新刊

『土と土が出会うところ』

絵・写真を含む全7章

Ⅰ 水と水が出会うところ
Ⅱ 喫茶ウェリントン
Ⅲ 星日月(ほしひーつき)
Ⅳ ポポウのみた夢
Ⅴ いつもの場所
Ⅵ みずろく
Ⅶ 黒猫のようなもの 白猫のようなもの

ページ数 128ページ
サイズ  148mm x 210mm
出版   shushulina publishing
ISBN    978-4-9912268-1-6
価格   2500円+税
2021年10月28日 発刊​

https://www.shushulinapublishing.com

緑と赤


緑と赤(中禅寺湖、2020)

夢のような


朝のような夜、夢のような朝(山中湖、2017)

2020

駐車禁止(岡山、2019)

窓話

窓話(別府、2019)

ステーション


ガスステーション(高野山、2019)

数学者の住んだ町


岡潔の住んだ町で過ごすことがちょっと増えた(橋本、2019)

a barber

散髪屋の少年(ポートエンジェルス、2016)

쓰레기


ごみと反射(ソウル、2019)

こっち

あっちからこっち(ソウル、2019)

青い水

スイミングプール(ニューヨーク、2016)

ホモ・サピエンス

人類遺産(三春、2018)

no where

no where to go(千葉、2016)

黄色

きいろい色(日光、2017)

すこん

すこんとした空(三田、2017)

地底


(京都、2017)

あなたとあなた

多島海

それぞれがちっさな浮き島は、大きな海に浮かんでいるということを共有している(篠山、2017)

2018


流れ星(下風呂温泉、2017)

もふもふ

浜辺のもふもふ(大間、2017)

干す人

本州の最北の地で海藻を干す人と小屋(大間、2017)

偶像

色あせたトーテムポール(本宮、2016)

存在

互いに存在することを許しあうだけの関係(笠間、2016)

東京の記憶

暑い夏の東京の記憶(根津、2015)

door

どこでもないドア(高花、2017)

置場

身の置場(2016、益子)